社会福祉法人 恩賜財団 済生会有田病院

人工膝関節置換術/人工関節センター

人工膝関節置換術とは

正常な膝関節

 正常な膝は簡単に曲がります。関節が衝撃をやわらげ、なめらかに動くので、痛みなく歩いたり、しゃがんだりできます。
しかし膝関節の軟骨がすり減ったりなくなると、骨と骨がぶつかって炎症や痛みが現れます。これが変形性膝関節症です。

変形性膝関節症になりやすい人

  • 高齢者:膝にかかる負担が長期間になるため、骨や関節軟骨が弱くなる。
  • 肥満:体重がひざに負担をかける。
  • 女性:閉経するとホルモンバランスが変わり、新陳代謝が低下して骨が弱くなる。
  • O脚の人:ひざの内側にかかる負担が大きい。
  • X脚の人:ひざの外側にかかる負担が大きい。
  • 運動不足:ひざの骨や関節を支える筋肉を弱らせて、変形しやすくなる。

 

変形性膝関節症

変形性膝関節症の症状

  • 歩き始めるときに痛みが出る。
  • 階段の昇り降りで痛みが出る。
  • 立ちあがるときに痛みが出る。
  • 正座しにくい。
  • 膝に水がたまって脹れてくる。

 人工膝関節置換術は、膝関節の痛みに対して、投薬、リハビリ、関節内注射(ヒアルロン酸)を行っても、痛み、変形が消失しない時に行います。人工膝関節は特殊な金属(コバルトクロム合金やチタン合金)とポリエチレンから作られています。大腿骨側、脛骨側、膝蓋骨の部品が組み合わさって関節を構成します。

術前(O脚変形)

術後

人工膝関節の効果

  • 膝関節の痛みがなくなるか、大きく和らぎます
  • 下肢の内反・外反変形がなくなり、筋肉がうまく動けるようになって脚の力が強くなります。膝の痛みがなくなれば、もっと脚を使うことができますので、筋肉が付いてくるのです。
  • 日常生活の動作や、衝撃の少ない運動がずっと楽にできるようになります。

術前(O脚変形)

術後

人工膝関節置換術の問題点

 膝関節の痛みが劇的に改善する人工膝関節置換術ですが、問題点はあります。こうした点を理解した上で術後日常生活において上手につきあうことが必要となります。

  • 細菌感染:人工関節は大きな異物であるため、細菌感染が起こりやすい環境です。感染すると赤みや腫れ、膿が出て治りにくく、人工関節を抜去しなければならない場合があり、治療期間が長くなります。日頃より細菌感染のもとになりやすい虫歯や水虫の治療、ウイルス性の病気にかからないなど常日頃からの注意が必要です。当院では手術はクリーンルームで行います。
  • ゆるみ、摩耗:時間が経過するにつれ人工関節周囲の骨に隙間「ゆるみ」が発生することがあります。又、高密度ポリエチレンという人工軟骨が1年間に平均0.1mm摩耗します。このため骨溶解が起こり得ることがあります。従って定期的に人工関節の状態を確かめながら、メンテナンスを行っていくことで寿命を延ばすことが上手なつき合い方です。